ラシュアンを少し歩いた所まで来た。草原のような風景にファラがすごく喜んでいた。何か見つける度に騒いでいる。こういう旅には確かに楽しまないと行けないのだが、リッドが・・・
「なぁファラ・・・。一体どこにいくつもりなんだ?」
確かにその通りだった。いつまでも能天気には流石にいられない。そういわれて、ファラは少し頭に手をつけて考えていた・・・。そして、歩きながら一刻程経ち、ファラは何かを思い出したように、リッドを向いた。
「そういえば、この子って言葉わからなかったよね・・・」
少しその場が静まった。まず言葉がわからないと、この子が何しに来たのか分からない。
「だから・・・キールにちょっとお願いして、解読してもらわない?」
キールは、リッドやファラと同じ幼馴染みの一人。10年前にラシュアンから出て行き、学問の街ミンツに行ったのだった。そう聞いて、リッドは少し微妙だと思ったが、それ以外いくアテもないし、ミンツがラシュアンから1番近い都市だったので、否定する必要はなかった。
「あのキールにねぇ・・・」
実は、少しリッドはキールが嫌いだった。しかし、ファラがいるからそれを表にはしなかった。少し仕方ないように首を縦に振り、ミンツへと向かっていく・・・。
歩き始めて更に一刻が経った。ラシュアンからかなり外れたはずなのに、あたりは相変わらずと言うくらいに森と草原だらけだった。そんな風景が続いたからなのか、流石にファラも騒がなくなって来た。リッドも一時間の間ずっと背負っていたせいか、傷口の左肩の部分が少し痛み始めた。そこを気にし始めたお陰なのか、少女が気絶では無く、軽く鼾が聞こえたので眠っているのに気づいた。もうすぐ起きるとリッドは安心した。
ミンツまでは3日はかかるくらい遠い。本来は乗り物で行くべきなのに、去年でその乗り物が絶えてしまった。しかし、ラシュアンはもう出てしまったので戻れなかった。だから、もうミンツに向かうしかなかったのだった。
そして、奥まで進むと山道になった。かなり歩いたのだが、もう空は夕方だった。そして、その夕日が少し恐怖を覚えるくらい赤かった。しかし、そんなことを考えていても仕方ないと思った二人は黙々と歩きつづける。だが、今日の山道は何かあったかのように地面が安定していなく、進むのに時間がかかった。いつもなら30分で山頂までいけるのに、1時間かかった。そして、ずっと歩きつづけたのか、そこにあったベントにファラが座り込んだ。そんな姿を見て、リッドも地面にだが、座った。二人の見ていた先はミンツではなく、夕日だった。あの怖いくらい赤い・・・。
「・・・夕日・・・本当に赤いよね・・・」
長い時間あった沈黙を打ち破るようにファラが言う。確かにあんな赤い夕日は過去幾度見たことなかった。なぜ、この旅を始めた直後に・・・とリッドは何故かそうおもった。
「赤すぎて気味悪ぃぜ・・・」
そして、夕日が消えて、夜になった。これ以上の移動はリッドが危険だと言ったので、ここでキャンプとなった。ミンツに行くまでの食料は何とか持っていたので、とりあえず、キャンプについては二人とも安心していた。リッドは、食べてる間はまだ眠っている少女を降ろした。食べてる間だけは、休んでいるからなのか、会話が結構弾んでいた。
「ここから、ミンツが見えるんだな〜・・・」
ミンツは大都市だったので、夜でも光が多く見えて、この山頂からでも十分に光は見えていた。あそこにキールがいる・・・。そう思うと何か心の中で渦巻いた。
「今は、全く手がかりがないんだから、行くしかないんだよね・・・」
その言葉の後、また会話が止まった・・・。その後は、光だけのミンツをずっと眺めていた。リッドは疲れて眠くなってきたので、キャンプの中に入ろうとした。
その時、いきなり地震が発生した。二人はとりあえず木に掴まって、倒れないようにした。下から土石流のような激しい音が聞こえた。もし、まだこの山道の途中にいたら巻き込まれていた。まるで、あの赤い夕日がこれを予兆していたようだった。とりあえず掴まっていた二人だったが、リッドが何かを思い出したようにいきなり木から離れて、走っていった。ファラもそこから離れようとするが、地震が更に強くなり、動くことが出来なかった。リッドは、急いで食べた時に降ろしておいたままにした少女を背負い、近くに木に掴まろうとしたが、辺りに木が無かった。
そして、1分後くらいに地震が止まった。ファラは止まったのを確認すると、急いでリッドを探した。自分の目に見えたのは少女を背負って崖に落ちていく姿。崖の下を見たが、下の木が邪魔で姿が見えなかった。
何故地震が起きたか、不思議だったが、そんなことは全く考えずに、急いでファラは二人の様子を探しに行ったのだった・・・。
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