3人は、ミンツに向かって、歩きつづけていた。本来の目的である、言葉の理解のために。そして、ラシュアンを離れて、かれこれ3日経過した。3日前の事件がなければ、こんな事も無かった。しかし、もう、戻れはしない3人は、進みつづける。
空も夕暮れに近づいてきた。その時、ファラが近くにあるレグルス道場に行こうと言った。レグルス道場は、つい最近まで、ずっとファラが通いつづけていた道場であり、武術の稽古に力を入れている。最近では、少しだが、晶霊についても関わってきているらしい。そして、歩きつづけて、レグルス道場に到着した。
「ここが、ファラが通ってた道場か?・・・」
「うん。懐かしいなぁ〜」
「懐かしいって・・・。つい最近まで来てたんだろ?」
「うん、そうだったよね。」
軽く、過去と触れて、少し喜ぶファラ。少女は、その道場を初めてみるかのように、見ていた。リッドも、ここを間近で見るのは初だった。
そして、道場の前にある長い階段・・・。リッドには階段が恐ろしいくらい長いと思った。しかし、ファラは懐かしいと思って、一気に走って登る。昔から、この階段を登っていたファラにとっては、これは楽勝だった。しかし、リッドは、中盤でもうバテていた。
「この階段・・・きつ・・・」
そんな、文句もいいながら、歩いて1歩1歩登り、頂上に着く。道場は遠くで見るよりも、かなり大きかった。ファラは、楽しいことが中にあるかのように、スキップして扉の前に行く。リッドにとっては、ただここで一泊するだけだから、楽しいとかないと、普通に思った。ファラがガラガラと扉を開けると、中は誰も居なくて、寂しい空間があった。ファラは、リッドを呼んで、リッドも道場の中に入った。誰も居ないのかと思って、リッドが奥に行こうとすると、天井から何かが落ちてきた。
「な・・・なんだ!?」
落ちてきたのは数名の道場の胴着を着ている人。ファラには門下生の人だとすぐに分かった。その門下生は、リッドの周りに落ちて、囲んでいた。
「覚悟!」
そう言って、数名の門下生がいきなりリッドに向かって襲う。リッドは、剣を抜いて構えた。しかし、多方向の攻撃により、自分が攻撃する隙がなかなか見つからず、それでも、なんとか隙を作り出し、斬ろうとした。
「リッド!ダメだよ!攻撃しちゃ!」
そういわれて、リッドは剣を止める。そして、剣の向きを逆にして、峰打ちで攻撃した。そして、門下生全員を、峰打ちで全員倒した。
「っったく・・・いきなりなんで襲って来るんだよ・・・」
「うん・・・どうしたんだろ・・・」
ファラにとっても、何故襲ってくるかは分からなかった。リッドは剣を鞘に戻し、その場で座った。何故襲ってきたか考えていると、奥の部屋からガチャと音がして、誰かがこっちに来た。その人も門下生と同じ服を着た、謎の男だった。
「うむ・・・すばらしい・・・よし!レグルス道場の入門を認めよう!」
・・・は?―
3人は、その場で少ししらけた。言ってる事の意味が分からなかったリッド。
「いや・・・何の話だ?・・・てか、誰だ?」
「・・・レグルス師範!」
ファラが、いきなりペコリと頭を下げる。この人が、この道場の師範であり、ファラの師匠のようなものでもあった。リッドは、いつものファラじゃ頭を下げるようなことをしないので、少し驚いていた。
「おぉ・・・ファラか・・・」
「お久しぶりです レグルス師範」
「まぁ、こんな所で話すのもなんじゃ・・・。奥で話そうか」
3人は、道場の奥にある休憩室で話をした。レグルス師範は厳しい人でもあるが、優しい人でもあったので、一泊にはすぐに賛同してくれた。そして、一泊の話を後はファラとレグルスの話ばかりで、リッドは暇そうに聞いていた。リッドは、レグルスから寝室の場所を聞いて、寝室に行った。
リッドは、少女をベットに降ろしてから、別のベットに乗った。歩いてばっかりで、すぐに寝ようかと思った。
「ティアエティ・・・ドゥイ ヤイオ アンエディ ウティ?」
その声に気づいて、リッドがベットから起きる。少女はリッドのところに行きたいのか、手だけで進もうとした。そんな姿を見て、リッドがベットから立ち、少女をベットに座らせてから、隣に座った。
「メツン アイパ?ウ エトゥ・・・」
そこで、言葉が途切れ、少女は自分の胸の手を当てながら言った。
「・・・メルディ!」
少女はその言葉を強調して言った。いろいろと言葉を言っていたが、リッドに分かったのは最後の一言だけだった。
「メ・・・メルディ・・・?」
「ヤンス!ウ エトゥ メルディ!」
メルディ―。
リッドは、少しそれが何を表しているか考えた。
「・・・もしかして・・・この子の名前か?・・・」
リッドは、多分自己紹介をしているのだと思った。そうでもなければ、あそこまで強調する意味が無かったからだ。そして、リッドも、名前を言った。
「俺は・・・・・リッド!」
少女と同じく、強調をしていった。
「リッ・・・ド?・・・リッド!」
そう言って、腕にガッシリと抱いてきた。その時、初めて会った時のように謎の光が発生した。しかし、リッドは光のことよりも、分かり合えた。とりあえずそれだけで十分だった。
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